2012年03月19日更新
就業規則に、定期昇給の条文がある場合、昇給義務があるのでしょうか。
言い換えれば、今年は財政が苦しいから昇給しないよ、と
言うことが出来るのでしょうか。
そもそも、昇給について、就業規則にどう定めるべきかに関しては、
労働基準法に条文があります。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、
①昇給の有無、②昇給期間、③昇給率その他昇給の条件等
を就業規則内で定めなければなりません。
しかしこれは、就業規則内で、「昇給について定めなさい」と
いうことであり、「昇給をしない」と定めることも可能です。
現実問題としては、
一定の時期毎(例えば毎年4月1日)に昇給する旨を
定める就業規則を作ってらっしゃることも多いでしょう。
ではそのような就業規則があるにも関わらず、
「今年は昇給をしない」とすることは可能なのでしょうか。
(昇給義務を負っていないと言えるでしょうか)。
これが可能か否かは、就業規則の条文がいかに規定されてい
るかによると思われます。
例えば 「第○条 昇給は原則として○月○日に行う」
という条文があったとします。
こういった規定であれば昇給義務を負っていると判断される
可能性は低いでしょう。
「原則」とすることで、例外があることを匂わせていますし、
どういう基準で、どの程度昇給するかといった詳細について
も書かれていないからです。
反対に 「第○条 昇給は年に1度、○月○日に行う。
○○を行った者は○○円昇給し、△△を行った者は、
△△円昇給する。」 といった条文があるとします。
こういった規定の場合は、昇給義務を負っていると判断される
可能性が高いでしょう。
昇給基準、昇給金額といったことが細かく規定されており、
それを満たした社員に対しては、昇給しなければならない
と考えられるからです。
なお昇給義務を負っていると思われるが、今後どうしても昇給
することができなくなりそうだという場合は、
昇給に関する就業規則の規定を変更することが考えられます。
但し、それはいわゆる就業規則の(社員にとっての)
不利益変更となるので、いくつかの条件をクリアーして
初めて行うことができます。
昇給を規定することで、社員さんのモチベーションは上がるでしょうが、
一方で人件費は年々高騰してしまうことになります。
どんな昇給規定が良いかは、会社ごとに見極める必要があります。
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